2章

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僕と彼は部屋で壁にもたれながら隣合って座っている。 「そういえば、ふと思ったけど」僕は言った。  彼は本から目を上げ、こちらを見詰めた。 「僕たちは、いつ出会って、どうやって喋るようになったのだろう」 「そういえば、あんまりよく覚えてないな、何しろ初めて会ったのはもう…十七年前、になるのか」もうおっさんだなと言って彼は笑った。 「今だから言えるけど、最初は君の事はあんまりいい印象じゃなかった。怒らないでくれると助かるかな」僕は言った。 「いつもそうだったね、君が俺を怒らせた。そして謝るのも」  言葉が重なる「僕だった」「君だった」軽く笑い合う。  僕は言う「昔を思い出すのは、懐古に聞こえてしまうけれどたまにならいいよな」  彼が答える「よく夢を語り合ったものだな。今はお互い普通のサラリーマンだけどな」 「司書って、サラリーマンなのか?」聞いてみた。 「さあな、でもお金と時間を交換しているのだから、同じようなものだろう」  お互いが、少しの間口を閉じる。彼は何かを考えているようだった。それを見て、僕も文字列に目を落とした。     
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