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僕と彼は部屋で壁にもたれながら隣合って座っている。
「そういえば、ふと思ったけど」僕は言った。
彼は本から目を上げ、こちらを見詰めた。
「僕たちは、いつ出会って、どうやって喋るようになったのだろう」
「そういえば、あんまりよく覚えてないな、何しろ初めて会ったのはもう…十七年前、になるのか」もうおっさんだなと言って彼は笑った。
「今だから言えるけど、最初は君の事はあんまりいい印象じゃなかった。怒らないでくれると助かるかな」僕は言った。
「いつもそうだったね、君が俺を怒らせた。そして謝るのも」
言葉が重なる「僕だった」「君だった」軽く笑い合う。
僕は言う「昔を思い出すのは、懐古に聞こえてしまうけれどたまにならいいよな」
彼が答える「よく夢を語り合ったものだな。今はお互い普通のサラリーマンだけどな」
「司書って、サラリーマンなのか?」聞いてみた。
「さあな、でもお金と時間を交換しているのだから、同じようなものだろう」
お互いが、少しの間口を閉じる。彼は何かを考えているようだった。それを見て、僕も文字列に目を落とした。
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