春は一生の出会いの季節(彼女目線)

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春は一生の出会いの季節(彼女目線)

≪晴海は結婚がうんと遅いか、出来ないか、かも知れんね。≫ 年頃になってから、家族や友人からそう言われてた。 22歳になったその年まで、一度も浮いた話がなかった私。 淡い恋心を抱いた事もないし、告白された事は勿論無い。 それどころか、男性と会話した事も数えれる位かもしれない。 反対に妹は、若くして結婚するだろうね、と言われた。 中学、高校と付き合っては別れてを繰り返し、気軽に着替えするファッション感覚の恋人だったようだ。 短大を卒業し、やっと採用の決まった会社に就職出来た。 入社式を終え、配属先の部署へ出勤する。 ≪えー、お姉ちゃん、そのスーツで出勤するの? 地味過ぎでしょう! 歓迎会もあるんだから、せめて着替えでも持ってってお洒落しなよ。≫ 今朝、私の独り暮らし部屋を覗きにやってきた妹が口を出したが、初出勤、地味でも良いじゃないか。 お洒落スーツなんて持ってないよ!! と言うわけで初出勤してきたけど。 う~ん、やっぱり私、浮いている? これが私のスタイルです!って開き直るような強気も持ち合わせていないんだけど、持ってないものはしょうがない。 同じ部署に配属された女性は私を含め、四人。 私以外の人は皆、お洒落でした。 やっぱりね。 部長も、他の男性社員も、皆鼻の下をのばすってこんな感じって思った。 『これから、ヨロシクお願いしま~す!』 うん、お洒落な人は挨拶も可愛らしい。 私には無理だな。
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