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ビデオレター
「山本君」
雄清がとある女子に呼び止められる。
「何かな?」
雄清は答える。
「例の映画の件どうなった?」
「ああ、悪いけど、都合がつかなくてね」
「そう、じゃあまたの機会に」
その女子は肩を落として言った。
「考えとくよ」
と雄清は答えた。
その女子は小走りで去っていった。
「なんだ、雄清、あの女子は」
「ああ、執行部の子さ。文化常任委員だよ」
「ああ文常ってやつか」
「そうそう。あと、この前、彼女、前で表彰されてたけど知らないかい?」
「表彰?」
「まあ、知らないか。太郎だもんな。物化部にも所属していて、大会で研究賞を貰ってたんだよ」
へーそりゃすごい。文常の君は優秀なようだ。
「それで、映画って生徒会がやってるやつのことか」
俺たちは生徒会が文化祭で発表する映画撮影の協力を夏休みに行っていた。
「それがね、違うんだよ。あの子に映画に誘われているんだ」
ほう、佐藤以外にも物好きがいたもんだ。
「でなんて返事したんだよ」
「考えとくって」
「お前、それさっきも言っていたじゃないか」
「そうだっけ」
「ああ。お前あの女子のことが好きなわけじゃないんだろう」
「まーね、恋愛対象って感じではないね」
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