1章 再会

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さて、伊呂波は俺を元気づけるような適当なことを新学期初日に言ってくれたが。 結果から先に言うと、俺は新学期早々グループに馴染めることができなかった。 というのも、元来俺はボッチになることが多く、人と話すのが苦手だった。 また、親が昔買ってくれたスマホで無料ゲームやることが好きだった。 結果、俺は入学式そうそう携帯をいじってゲームをし続けたせいで友達づくりのタイミングを逃し。 ボッチに窓辺で携帯ばかり触る生徒になってしまっていた。 まあ、別にいいんだけどさ。 金があったらガチャやりたいけど、流石に伊呂波に高校通わせてもらってるのに、遊びで流すわけにはいかないし。 そうすると、イベントをちまちまやってガチャするための資金を稼ぐことから始めるしかないのだ。よって、授業終わりの時間は誰かと喋ってる余裕なんかないのだ。そうして没頭していくうちに、人の輪に入れなくなっていったのだ。 まあ、新学期からしばらくはそれで良かったのだが。 (ーーやっべ。みんなどこへ行った?) ある日のお昼過ぎ。 いつものようにボッチで飯食いながらゲームしていたのだが、気づいたら人がいなくなっていた。 何事だろう?と思って黒板を見れば、「次の授業は化学室で行います」と無機質なチョークの文字が書かれていた。 ここで俺は、致命的なミスに気付く。 (ーーあれ。化学室って、どこだっけ?) そう。俺は自分の教室の場所以外、全く把握していなかったのだ。
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