1章 再会

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「……あとはこの角を曲がれば化学室だ」 「なるほど、ここだったか」 前世の俺の兄らしき人物は、急な申し出にも関わらず親切についてきて教えてくれた。いい奴だな、前世の時から知ってたけど。 「助かったけど、アンタはいいの?授業」 「問題ないよ。これから生徒会の仕事をやるところだったから」 「へぇ、頭良いんだな」 さすが元国王候補だっただけある。生徒会とか、リア充の集まりじゃん、2次元の話だけかもしれないけど。 「いや、単に担任にすすめられただけだ。内申点にもいいし、せっかくだからと思って引き受けただけだよ」 「推薦でもやるだけすごいじゃん。俺なら頼まれたら絶対やらないかな、面倒だし」 まあ、そもそも勧められることはないだろうけどな。そんなことを思いながら思わず口元が上がってしまう。 彼も、前世の頃から変わらないようだったから懐かしく感じたのだろう。 そうすると、何故か目を丸くされてから、ほんの少しだけ、目が細まる。 「ーーなあ。お前、やっぱり、」 彼が何かを言いかけたところで、本鈴のチャイムが鳴り響く。 「あ、やっば遅れる!ここまで助かった、ありがとう!」 授業に遅れそうになったことを思い出した俺は、慌てて踵を返しても目的地へ走り出す。 おざなりに礼を言った彼に、もう二度と会わないことを強く願いながら。
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