0人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「そっか今日図書当番だっけ?」
「うん。誰も利用しない放課後図書室で座ってるだけの仕事。暇なの~」
「居眠りしないようにね、バイバーイ。うわ、」
真由が教室を出ようとした時木村さんにぶつかった。マズい。なにか起きるんじゃないか。
「ごめんね!木村さん、わざとじゃなくて!」
「気を付けてよ。ったく」
よかった。ここで因縁つけられたらどうしようかと思ったよ。
大丈夫だった真由を見送り私は図書室へ向かった。
図書室には見事誰もいない。うちの学校は進学校でもなんでもない普通の学校だし、放課後ここで熱心に勉強する人なんていないのだ。
図書委員の私はカウンターに座って・・・座って・・・
「暇すぎる~。ここは暇なの~」
ぼやくしかない。
その時ドアを開ける音がした。慌てて背筋を伸ばして座り直す。
入ってきたのは知らない女の先輩だった。私と目が合うと笑ってきたのでこちらも笑う。
「ぼやく図書委員に問題です。この世界に不要な命はあるでしょうか?」
「え?は?」
「答えてみてよ。ねえあると思う?」
「そりゃあ、ないでしょうね。要らない命なんてないですよ」
「あはは、だよねー。私三年の寿佳代子、あなたは?」
「一年の大森秋葉ですけど」
これが私と佳代子先輩が初めて会った時。
最初のコメントを投稿しよう!