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「皇王は、今の天下のありさまをご存知ないのか?
その御位は、民あってのもの。それを思わず、不作や飢饉に苦しむ民に思い税を課し、労役にかり出し、反逆があれば武力を持って抑える。一方で、閥族は抑えようとせず、賄賂は横行し、政治は腐りきっている。
さらにそこへ、赫への侵攻など、非道にすぎる。
十失を越えた。天命が革められる時だ」
秦盟は、声を張り上げる。
「民の声を聞け!」
「そちには朕は殺せない」
少年王の、声変わり中の声は大きくはなかった。
感情も、あまり、感じられない声だ。
あちこちから悲鳴と怒声がわきあがり、近衛兵たちが幾重にも二人を取りまく……
「龍剣!」
皇王が右手をあげた。
その瞬間、すべてが凍りついたように思えた。
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