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【パンクな神のお仕事】
しばらくして、気が付いた時にはあたりは薄暗くなっていた。
夢だったのか?
なんだか正気に戻ったオレは自殺する勇気も萎えてしまい、そのまま家に
戻った。
路地の突き当りに建っている築30年以上の古い建売住宅がオレの家だ。
周りをぐるっと家に囲まれているので、昼間でも暗くて湿っぽい。
建て付けの悪いドアを開けようとしたら、出かけようとするオヤジと
鉢合わせた。
「なんだ、今帰ったのか。遅いじゃないか。
ふらふら外ほっつきあるいてないで勉強しろ」
「オヤジ、出かけンのか?」
「うるさい、お前には関係ない」
そういってヒゲオヤジは家を出て行った。
数年前から奴には愛人がいる。どこかのスナックのママらしい。
しょっちゅう出ていっては何日も戻ってこないこともある。
オヤジも悪いけど母ちゃんもヒステリックなのでお互い様だと思う。
何年も前から夫婦関係なんて破綻しているのに、どうして離婚しない
のか謎だ。
埃だらけの階段をトントンと上がったら、開けっ放しのドアから
大音量の音楽が流れている。
「姉ちゃん、少し音小さくしろよ。近所迷惑だろ」
「っせーな、お前にいわれたくないわ!カス」
”ぶん”と音をたてて、コーラの空き缶が飛んでくる。
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