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呪文のようなものを唱えると、
万年床でぶかぶかな古畳、ボロボロの壁のオレの部屋が
一瞬で「キラッ」ていう効果音がつきそうな
どこかのマンションのモデルルームの部屋みたいになった。
「うそ……マジ」
「ほんまに汚い家やな」
神は姉ちゃんの部屋に向かう。
あかん、そこは入ったら殺される。
「うわ~タバコ臭いわ~たまらんわ~」
チェーンをじゃらじゃらいわせ、袖口で鼻をおさえながら
神様はまた呪文を唱える
「そわか」
途端にタバコのヤニで黄色くなった壁紙、空のペットボトルやコンビニ
弁当のガラが散乱した汚部屋が六本木ヒルズの一室のようになる。
(ヒルズは見たことない)
「これでええわ」
神様は”とんとん”と階段を下りていく。
神様の歩いた後は傾斜角度45度の急な階段も、足元のベニヤ板も
まっさらの階段にリフォームされる。
「すげぇ」
1階の薄暗いリビングで袋菓子をつまみながらテレビを見ていた
母ちゃんがびっくりして立ち上がる。
「あんた誰?!」
神様はにっこりとして、またなにか呪文を唱える。
その瞬間、なんということでしょう!!
しみのついた上下スウェットのたるんだ体のおばさんは
すらりとした美魔女に変身した。
ヤバイよヤバイよ、ウソだろシンデレラかよ!!
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