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帰宅後、今日こそこれを使うべきかと鞄から自殺デバイスを取り出した時、私は部品が一つ足りないことに気づいた。
薬液のパックとデバイスを接続するために必要なアダプターで、小さな部品ではあるがこれが無いとデバイスを使用することができない。
焦りで頭が真っ白になった。
辛くなったらいつだって死ねるはずだったのに、このデバイスが使えないとなると話が違ってしまう。デバイスはそれなりに値が張るものなので、もう一度買えるだけのお金は私には無かった。
いったいどこで無くしたのかとしばらく考えた後、鞄の中身をぶちまけた時に違いないと気がついた。
時計を見ると、時刻は十七時。うちの学校は運動部員の練習のために比較的遅くまで開けられているため、今から学校に戻っても、ぎりぎりまだ間に合う時間である。
私は慌てて家を飛び出した。
教室に入ってそこに人影を認めた時、この時間なら誰もいないだろうと高をくくっていた私は息が止まるほどに驚いた。
しかもなお悪いことに、そこにいたのはいじめの首謀者である彼女だった。
不幸中の幸いとでも言うべきは、教室に取り巻き達の姿はなく、いたのは彼女一人だけだったということくらいだろう。だからといって、相手が一人ならば私にだってなんとかなるとか、そんなことは全く無いのだけれど。
しかし驚いたのは向こうも同じようで、「え、なんでこんな時間にここに……?」と目を泳がせながら呟くその様子からは、いつもの傲岸さは感じられなかった。
人目の無いところで何か良からぬことでもやろうとしていたのか。
そこまで考えたところで私は、彼女の手の中にあるそれに気がついた。
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