序章

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 それから暫くして、学校から、将来なりたい職業を書いてくるという宿題が出されて、クラスで発表する事になりました。  みんなが、お花屋さんやケーキ屋さんと答えている中で、私は、魔法使いになりたいですと答えました。  一瞬間を置いて、みんなが一斉に笑い出しました。  私には、みんながどうして笑っているのか解らなくて、可笑しな事を言ってしまったのかと、恥ずかしくなりました。 「魔法使いとかそんなのある訳ないし」 とか、 「やっぱ、あいつちょっと変わってるよなー」 みたいな事をみんなに言われて、拒絶されたみたいな、疎外感みたいなものを感じて、悲しくて悲しくて、消えてしまいたくなりました。  先生は、困った様な顔で、 「もう低学年とかじゃないんだから、いつまでも子供みたいな事言ってちゃ駄目よ?」 と、言いました。  やっぱり、いつまで経っても、周りの人間は、この世界は、私を拒んで受け入れてはくれないのだと、思い知らされました。  それでも私は、みんなに嗤われて馬鹿にされても、諦めたら駄目だと思いました。  この時から、魔法使いになるだとか公言したりはしなかったけど、沢山の本を読み漁り、猛勉強し続けました。
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