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いつから其処に居たのか、気が付くと湖に居た。
空には大きな満月が出ていて、白く、光り輝いていて、湖の水面にも月の光が反射して、キラキラしていてあまりにも綺麗で、何だか恐いくらいで……。
湖の水面と空との境目が判らないくらいに辺りは闇に包まれていて、そんな中で光り輝く月の光は幻想的で、まるであの世か異世界かと思うくらいに現実離れした景色には魅入ってしまうのだけど、少し恐い。
この景色を見るのは、2度目だ。
前にも1度見た事がある。
「あれ?人が居る…。」
そう言われて振り返ると、1人の少女が立っていた。
腰まである長い髪も、瞳も、燃える様に真っ赤で、肌は蒼白く、その容姿もだけど、直感で、人間ではないと思った。
「……誰?」
恐くて、それだけ言うのがやっとだった。
「貴女こそ、どうやって此処に来たの?誘ってもないのに、自力で来るなんて…」
少女は言いながら、私の全身をくまなく舐める様に見続けていたが、
「あ~、成る程ね。」
と、1人で勝手に納得した様に呟いた。
私には、訳が解らずに黙っていると、
「貴女、魔法使いになりたいのでしょ?」
と、尋ねられた。
「どうしてそれを……」
そこまで言って、私は気付いた。
「だって、此処は魔法の世界で、私は魔力を与える者だから。」
少女はそう言って、邪悪な笑みを浮かべた。
そう、この子は悪魔だ。
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