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「ねぇ、本当に、魔法使いになりたい?」
少女に聞かれて、私は黙って頷いた。
「儀式に成功したのだから、それなりの知識はあるのでしょ?条件って、知ってるよね?」
私は、それにも黙って頷いた。
「貴女の知ってる条件って何?貴女は何を差し出したの?」
そう、私は以前にも此処に来て、適した日時に、最善の状態で、儀式をして、そして生け贄を捧げた。
「捧げる物は、何か1つに特定はされてなくて、例えばそれは、自分が産み出した子供や胎児、愛した者、自分の命の全てか定められた一部。私が差し出したのは、命の一部。」
私は、震える声でそう答えた。
「…私が恐い?」
震える私を見て、少女は尋ねた。
「…恐い。だって、対等な立場じゃないから。」
そう、決して対等な立場ではなくて、こんな風に会話をするなんて事は有り得なくて、きっと私は只では済まない。
「私は、貴女の事を気に入ったから、殺したりなんかはしないから安心してね?」
そんなの嘘だと思ったけど、私は黙っていた。
「でね?その生け贄の事なんだけど…。」
少女は再び話し出した。
「ごめんね、全然足りないから、微量の魔力しかあげられないの。」
少女は謝ってはいるものの、全く、悪怯れる様子は無い。
「命を全て差し出せばいいの?」
私がそう聞くと、
「それでも足りないかも。」
と、少女は冷たく言い放った。
「どうして?」
私が困惑していると、
「本当は、他の子にはこんな事教えないんだけど…貴女は変わったルートで此処に辿り着いたみたいだから、特別に教えてあげるね。」
と、話し始めた。
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