魔法の世界

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「まず、本来なら、貴女の儀式は成功で、今迄ならその犠牲を払った分だけの魔力を得られる筈だったのだけど、今ではそれが出来なくなってしまったの。均衡が崩れてしまったから。昔は沢山の生け贄を得る事が出来たのに、激減してしまったから。これでは割に合わないから、引換に魔力をあげるなんてやってられないの。」 「どうして、激減したの?どうして、それで、魔力を渡せないの?」  私が尋ねると、少女は呆れた顔で溜め息を吐いた。 「貴女達人間は、自分達の世界に無い物を求めて悪魔にすがっているのでしょ?魔法が、魔力が必要なのでしょ?私達だって、おんなじだよ?私達には自分達の世界に無い物が必要で、人間の命やその器、苦しみや悲しみや痛みがないと、困ってしまうの。自分の世界が保たれなくなっちゃうの。なのに、貴女達の世界に、魔法使いになりたい者はどれだけ居る?そもそも、魔法の存在を知ってる者は?」  そんなの、私の周りでは見た事ないし、魔法を信じてる人間なんてそうそう居ないかもしれない。 「でもね、全く居ない訳ではないの。昔に比べたら激減だけどね?だから、私、とっても良い事を思いついたの。貴女達人間のうち1人だけに魔力をあげるから、戦ってみせてよ。生き残る事が出来れば、魔法使いにしてあげる。」  つまり、魔法使いになりたい者全員から生け贄を奪い、だけど魔力をあげる人間は1人に搾って、効率良く生け贄を回収しようという訳だろうか。  しかも、戦うだの、生き残りだのって……。
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