ニコのお願い

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「おじさん、いつまで寝てるのよ。もう二時よ」 「ニコちゃん……今日は、早いんだね」  ダイニングテーブルに座っているのは、兄夫婦の娘で、幼稚園に通う五歳のニコだった。 「だって今日は水曜よ?幼稚園はお昼まで。忘れたの?」  ニコの通う幼稚園は水曜はお昼までなのだ。だから、水曜だけはお昼前には起きてくるよう秀人も気をつけていたのに、今日はうっかりしていた。 「こんな時間まで寝てるなんて」  文句を言いながら、ニコは冷蔵庫からお皿を取り出しレンジにかける。 「ニコちゃんも今からお昼?」 「そんなわけないじゃない。私はママともう食べたわ。これはおじさんのオムライス。ママは病院に行くから頼まれたの」  いつもお昼は勝手に食べるのに、なぜ今日に限って義姉さんは彼女に頼んだのか。俺が彼女に頭があがらないってわかってて、わざとそうしたのか……いや、違うな。義姉さんのことだから、軽い気持ちで「頼むわね」とでも言ったに違いない。そして真面目で責任感の強い彼女は、頼まれたから自分が起きるのをここで待っていたのか。  オムライスが温まる間、秀人がそんなことを考えていると、ニコは手際よくスプーンやお茶を用意する。 「お皿が熱いから、おじさん運んで」  仕上がりを知らせるレンジの音に、ニコがそう言うと、秀人は言われた通りにオムライスをダイニングテーブルへと運んだ。
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