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 仲間たちの非難と悲鳴を背景に、コプトテルメスはただ走った。ようやく隠れられそうなところに行くと、そこには先客がいた。アルマディリディウムだ。  かれもまた、おそろしげにことのゆくえを見守っていた。かれに戦う能力はないので、当然のことだった。 「これは。だめですねえ」  突然、アルマディリディウムが呟いた。 「なに? なんのこと?」  恐慌状態でコプトテルメスが尋ねると、アルマディリディウムは「解らない」と返した。 「あの巨大ないきものがそう言ってる」  ほどなくして、巨大ないきものはコロニーから離れた。どういうわけか、破壊活動を途中でやめたのだ。  そうして、コプトテルメスは巨大ないきものが塔の中に入っていくのを見た。おそろしいものを感じて、だがしかし、かれの正体がどうしても気になってしまって、コプトテルメスはかれを追うことに決めた。アルマディリディウムも、黙ってついてきてくれた。  その頃には、塔の中にコロニーが作った道ができていたので、そこを通る。やがて、アルマディリディウムが声を拾った。かれは、ことばをコプトテルメスに教えてくれた。 「ねえ、おくさん。あれはそうとうすすんでますよ。かべにもみちつくられちゃってます」  コプトテルメスは怯えた。秘密裏に進めていたはずの侵略が、かれにはすっかり解ってしまっているようだった。 「そうきゅうにたいさくがひつようだとおもいますねえ。そういって、ふっかけるつもりでしょう? とんでもないです。べんきょうさせていただきますよ」  早急になんとかしなければいけない。だが、コプトテルメスだけでかの巨大ないきものに立ち向かっても何もできないし、コロニーに戻っても仲間たちに弾劾されるだろう。コプトテルメスはただただ見守るより他なかった。  そのとき、コプトテルメスにもはっきりと聞こえる、大きな声が響いた。 「助けて!」  それは、塔の一番上の方から聞こえてきた。高くて透き通った声だった。 「助けて! 助けて! 助けて!」 「おくさん、このこえは。いいえ、いいえなんでもありませんよ。しかし、あきらかにこどものこえですよ、これは。ちょっと、しつれいします」 「待って!」  さきの声とは別の声も、アルマディリディウムを通さず聞こえた。だが、コプトテルメスは事態が把握できず、ただただ混乱していた。
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