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アルマディリディウムが、神妙に唸った。その意味を、コプトテルメスは知りたくなかった。
翌日、コロニーに戻れず塔の中で一夜を過ごしたコプトテルメスたちは、大きな物音に驚くこととなった。
悲鳴、絶叫。それらを遮る太い声。大きな足音。巨大ないきものが大勢やってきたのだった。かれらはあんなに遠かった塔の一番上まで軽々と上っていき、そうしてしばらくすると、かれらよりも小さないきものを連れて戻ってきた。
コプトテルメスは、大きな衝撃を受けた。目に入ってきたのは、長く濃い色の編んだ髪。
かれは、怯えたように何度も何度も自分よりも大きないきものに確認をしていた。
「ねえ、ねえ、下に降りていいの? 外に行っていいの?」
その叫び声は、確かにコプトテルメスに届いていた。
だが、なんと弱々しいのだろう。
コプトテルメスに比べればおそろしく巨大なのには違いないが、周囲のいきものと比べると、かれが庇護されるべきものであることはすぐに解った。
アルマディリディウムが何か言おうとして、コプトテルメスはそれを遮った。
「解ってる」
思考のあちこちに穴が空いて、水漏れしていた。
「かみさまだ」
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