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「今日もかい? まったく、もうそらで話せるんじゃないか?」 「ぼくが喋ってもしょうもないよ。かみさまに本当に会ったきみが喋るからこそ価値があるんだ」  それで、アルマディリディウムは教えてくれるのだった。仕方なさそうに。  おれが生まれてすぐに聞いた声は、かみさまのものだった。もう、ずいぶん昔の話だぜ。かれは、おれたちにたくさんの声をかけながら、おれたちの住む大地を耕してくれた。その声は高く、透き通っていた。その頃は、毎日おれたちはかれと一緒に過ごしていたよ。  しかし、間もなくしてかれは塔から降りてこなくなった。おれたちは混乱したが、かれが塔の上から水や食料を施してくれたので、次第に落ち着いていった。かれは、おれたちを見放したわけではないと解ったからだ。  それから長い年月が経った。おれも塔の上の声は聞こえないが、かれが変わらず恵みを与え、天使を遣わすので、かみさまは変わらないことが解った。おれは老いた。 「さすが、かみさまだ」  コプトテルメスは大きな目をきらきらさせた。自慢のパーツだ。何しろ、コプトテルメスの仲間は誰ひとりとして、そのような目は持っていなかったからだ。  アルマディリディウムといえば、きらきらを見ることはできないが、コプトテルメスの興奮は敏感に感じ取っているようで、更に呆れたようだった。 「こんな年寄りの昔話よりもさ、最近の話をした方がいいぜ」 「どうして?」 「聞こえてくるんだ。奇妙な話がね。だれかかれかが、ここはおそろしい、怖いと言って逃げていく。嫌な予感がする」 「おそろしい? 怖いだって?」  コプトテルメスは頓狂な声を出した。 「かみさまの、この素晴らしい場所のどこが? ぼくには解らないな」 「おれにも解らないよ」  苦笑しながらアルマディリディウムは返した。 「だが、解らないのがおれにはおそろしい。おれたちはこんなに楽しく生きているのに、ここを怖いと言うやつらがいるということが」  かれの言葉が、コプトテルメスには全く理解できなかった。アルマディリディウムのように長生きすればもしか解るのかもしれなかったが、理解したいとも思えなかった。そんなこと、まるでかみさまの悪口を言っているみたいじゃないか! 「おぉい!」  と、そこに、遠くからコプトテルメスの仲間の声が聞こえてきた。 「敵が来たぞ。仕事だ!」 「ああ、つまらない」
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