仮想空間

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中学二年に進級してから二ヶ月が過ぎた今日。六月最初の土曜日。 夕食を済ませた後、私、山崎のぞみは勉強部屋という名目の私だけのアジトに籠城。そして、いつものようにインターネット空間を漂っている。 教室の隅でひっそりと過ごし、そこに存在しているのかいないのか、自分自身にも見えてこないような学園透明人間としての日常とはまるで違い、ここでの私はおとぎ話のお姫様だった。 いつものチャットルーム。 自称18才の私に群がる、いい歳しながら下半身丸出しのような大人達を適当に冷やかしてから、私はいかがわしい夜の繁華街のように猥雑な仮想ルームを抜け出した。
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