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しばらくは、インターネット空間をゆく当てもなくただふらふらとさ迷っていた私。
退屈をしのぐためにここへ来たはずなのに、反って退屈しはじめているという矛盾に気づいた私は、もう一度さっきの卑猥なチャットルームに戻ろうかとさえ考え始めている。そんな私自身に、私はほんの少しだけ苛立った。
そういえば……。
さっきのチャットルームで、ネットの住人達の間で個性的で面白いと近頃噂になっている小説投稿サイトの名前が出て来た事を、私はぼんやり思い出していた。
そこの小説大賞の賞金のあまりの高額ぶりに、チャットルームのみんなで盛り上がったのだ。
投稿サイト小説にほえろ!
小説大賞。賞金額五百万円!
優秀賞。五十万円!
佳作。十万円!
たとえ入選を逃しても、すべての投稿作品には運営スタッフからの書評がつきます!
さあ、君も小説作家になってみないか!来たれ!志し高き明日の人気作家達よ!
「賞金まじすげえなWおまえら誰か投稿してみろよW」
「書評もつくみたいだな」
「本格的じゃん」
みんな感想を語り合って盛り上がってはいたのに、チャットルームの住人達の中で実際に執筆投稿したという人物が誰もいなかったのが不思議といえば不思議だった。
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