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焼肉入りケークサレ
「ジャーン!」
突然目の前に現れたダイアナに、貴絋は目を丸くした。
「good morningタカヒロ! 昨日の配信見てくれた?」
ダイアナの横には、女子がもう一人立っている。ダイアナといつもよく一緒にいる、高橋という名前の女子だ。
「見てねーけど」
「まぁいいわ……。俗世の流行に囚われないのが貴方の素敵なところだもの」
何言ってんだコイツと思わざるを得ない。咄嗟に隣の席の光一の方を見てしまった。この気持ちに共感を得たい。光一の方は、「辻くんゲーム大好きだしめっちゃ俗世の流行に囚われてるよね」という顔をしていた。
ダイアナはかまわず続ける。
「昨日の配信ではね、ダイアナの手作りスイーツレシピシリーズを公開したの。タカヒロの為に作ったのよ! はいどうぞ。焼き肉入りケークサレ!」
大袈裟なフランスかぶれの女が持っていそうな茶色い紙袋から、すぐに食べてと言わんばかりに裸のケークサレを取り出すと貴絋の鼻先に突きつけた。
突然のことに貴絋は驚き、一瞬言葉を失ってしまう。しかし突き付けられたパンともケーキとも言いがたい物体からは、食欲のそそる香りがほとばしっていた。
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