焼肉入りケークサレ

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「いつの間に食べたんだよ!」  貴絋はこのときやっと「ブラウニー」が、ダイアナが社会見学の日にくれた包みの中に入っているお菓子だったということに気がつく。  ――そうか。あの日は思わず受け取ってしまったけど、それがいけなかったんだ。  ってかそうじゃなくて! 「俺、お前に聞きたいことあるし、言いたいこともある。話終わるまで勝手に消えんなよ」 『なあに?』 「……言いたいことから言う」  貴絋は、目の前のトイレのドアを睨み付けた。そんなことをしたってそこにララの姿は見えないのに、そこを凝視するしかなかった。 「……あの時、ありがとな」  この言葉を出すのにとてつもなく時間がかかったと言うのに、ララの返事はない。もし聞いてもらえていないのなら、もう二度と言えない気がした。  すこし経ってから、やっとララの声が聞こえてくる。 『何が!? どのとき!?』  貴絋は彼女が消えていなかったことにひとまず安心してから、浅く息を吐いた。 「わかんねーならいい。次、聞きたいこと聞く」 『え!? 気になる! 教えてよ!』 「お前、体操服着て帰った日に俺の体で何した? ちゃんと説明しろ」 『怒らないって約束してくれる?』 「怒らないワケが存在しない……」     
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