焼肉入りケークサレ

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『まぁ、いいわ。アンタが怒ったって全然怖くないもんね! あのね、私パンケーキが食べたくてカフェに行ったの。そこでお財布を持ってないことに気が付いてね。アンタのママを呼んだわ』  嫌な予感が見事に的中した。一番されたくないことを、ララはなんの躊躇もなくやってくれたのだ。薄々予想はしていたものの、実際に本人の口からそれを聞くと、もうため息しかでない。すでに怒る気力すら枯れていた。 「……約束してほしいんだけど」 『怒ってないの? 約束?』 「……お前が何をしたら成仏すんのか知らないけど、俺の母さんに迷惑かけるのだけは絶対にやめて。て言うか母さんに関わんないで。まじで超迷惑なんだけど」 『何いってんの? 自分はママに生意気な態度とってるクセに……?』 「俺はホンキの迷惑かけてない! ……たぶん」 『何それ? でもアンタのママはとっても優しかったよ。全然怒ってなかったし』 「……んなこと知ってる。そのとき、何か言ってたか」  するとララは真織の穏やかな口調を真似しながら、優しくこう言った。 『貴くん、パンケーキ好きだったんだね。お母さんの会社の近くにいつも行列ができるパンケーキ屋さんあるの。今度一緒に行ってみない?』  再び嫌な予感がして、落ち着きかけた怒りがまたゆらゆらと火種を増やした。 「お前、まさか……」 『行く行く! って、可愛い笑顔で喜んだ』 「クソ女……殺す」     
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