焼肉入りケークサレ

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 そこで貴絋が出した結論はこうだった。  ――お菓子を満足するまで食べさせる。これだよ! 「辻くん、辻くん、大丈夫?」  肩を揺らされて気が付く、とっくに授業は終わっていた。顔を上げると光一が心配そうに貴絋を見つめている。 「ああ、平気」 「さっきびっくりしたよ、いきなり先生にケンカ売るんだもん。それより午後の調理実習楽しみだね」  ……調理実習?  貴絋の脳裏を掠めるのは微かな記憶。それと、ほんのり嫌な予感。 「それって前話してた、各自で材料持ち寄るやつだっけ?」 「そうだよ。辻くん、確か君は麺担当だったよね。僕らの班は焼きそばを作るって、一週間前に決めたんだったよね」 「説明口調やめろ。思い出した。今日だったのか……」 「辻くん、まさか」 「詰んだ」 「麺なしの焼きそばとかマジで詰みだよ! 大体給食のあとにまた焼きそば食べるのも結構アレだし今日の献立見た? まさかの焼きそばかぶりなんだよ! あー……何て日だ!」  貴絋は時計を見上げたあと、静かに立ち上がる。 「任せな……俺らが作るのは、焼き()()()だ」 「えっ!? どうするつもり!?」 「決まってんだろ、そこのスーパーまで買いに行くのさ。じゃあな、光一。次会うときは調理実習室だ」     
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