焼きうどん

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 そこへ、息を切らした光一が赤い顔で現れる。 「光一、お前なんで」 「……味を変えよう! 給食がソースなら、うどんは中華風に」 「稀に見る天才」  ダイアナにはわかりようもない熱い友情がそこに展開されていた。だけどこっちだって負けてはいられない。邪魔物が一人増えたけど気にしない。ダイアナの顔にもう涙はなかった。 「それじゃ皆のもの行くわよ! レッツ・ゴー!」 「仕切んな」 「(さん)!!」 「散らばんな!」  三人は弾けたポップコーンのように駆け出した。  □  ゆでうどんを人数分抱えた貴絋は取り敢えずほっと胸を撫で下ろし、光一達が居るであろう調味料コーナーを目指した。 「辻くん、あったよ! 中華スープのもと!」  光一は手慣れたようにすぐに欲しいものを見つけ出していた。 「よし、レジ行こうぜ。あれ、ユーチューバーは?」  貴絋は驚いた。てっきり光一と一緒に買い物をしていると思っていたからだ。何せ彼女は一人で買い物をしたことがないらしいのだから。 「辻くんと居るのかと思ってた、どこに行っちゃったんだろう?」  気が弱いのか強いのかよくわからない。探すのも面倒に感じた貴絋は暴挙に出る。 「レジ行こうぜ、……なんなら先帰ろう」 「それはさすがに可哀想でしょ」     
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