肉じゃが

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「俺の家の焼きそばにはそんなもん入ってねーぞ……。むしろ俺の家には○ャベツの侵入を許してない」 「なるほど。君キャベツが嫌いなんだ」  華麗な包丁裁きでキャベツを切り始めた光一を見て、貴絋は一歩後ずさる。 「絶対入れるな」  切られていくキャベツを見ないように彼は顔を背けた。 「悪いけどもう決まったことなんだ。どうしても食べられないなら、避けて食べたらいいじゃない」 「ダメだエキスが入る」 「君のワガママだけ聞くわけにはいかないよ。団体行動乱すなと言ったのは辻くんでしょ。どうしてもダメって言うならキャベツ無しのやつ別で作りなよ。コンロもうひとつ開いてるし」  貴絋はとても残念な気持ちになった。光一の作った中華風焼きうどんをとても楽しみにしていたというのに、なんと彼は自分で作れと冷たいことを言う。  ――俺がそんなもんつくれるような顔に見えるのか?  それでももう後に引けなくなった貴絋は、自分で一皿作る事を決意した。 「おいっ!! 火が出たぞ!? 光一てめぇ魔道具持ってきてんじゃねーよ!」 「落ち着いて辻くん! これガスコンロだよ!」 「きっと彼はIHしか知らない人種なんだ!」  班員に手伝ってもらいながらも出来た自作のうどんと、光一の作ったものを比べて見て、貴絋は愕然とした。 「なんだよこれ」     
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