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カレー
貴絋は母親と二人で暮らすようになってからも、何不自由のない生活を送ることができた。もちろん生活水準が下がることもなく、毎月のお小遣いもきちんと与えられている。ただ母親の仕事は忙しく、あまり家にはいない。食事の用意がされていることは週に数えるほどしかなく、それも大抵一人で食べた。
だが最近になって、ふと気付いた事があった。皿の種類が変わる頻度が高い事だ。
すでにテーブルに用意されていたカレー皿には、可愛いとは言い難い熊の絵が描いてあった。初めて見る皿だ。今までなら、ただの白い皿だった。
――なんでこんな皿引っ張り出してきてんだ?
不思議に思い、前にもこんな違和感を覚えたことを思い出す。いつも使っていたグラスがある日突然来客用の物に変わっていたのだ。それからは、もうずっとそのグラスが普段使いのグラスになった。
それが今、左側に置かれているグラス。なんとワイングラスだ。なんでわざわざこんなものを出しているのか。いつものあのグラスは?
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