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アイスクリーム
「パトラッシュ! こっちへ来てくれる?」
手を二回叩いたダイアナの方を、そこにいた男子生徒数名が一度に振り返った。だが返事をするものはいない。
そこに居たのは貴絋・光一・明吉・直也。ダイアナの視線は明らかに、その中の光一を捉えていた。
「早く来て、話があるの!」
「僕パトラッシュじゃないです……」
ダイアナは光一の腕を強引に引っ張ると、廊下の方へ連れ出してしまった。
それを見た明吉は面白そうに言う。
「貴絋、追いかけないの? いいのか? 彼女を松葉に取られても」
明吉は肉じゃがの件をまだ根に持っていて、たまにこうやって憂さ晴らしをしてくる。明吉ごときにからかわれるのが癪だが、こういうのは取り合うと余計に調子に乗るので大人の対応をとるのが効果的である……はずだったが。
「高橋チカのこと好きなくせに」
貴絋はまだ大人になりきれてない。ムカつくことはムカつくし、やられたらやり返すのが彼のポリシーだ。
「言うなよアホッ!!」
顔を真っ赤にした明吉が貴絋に躍りかかった。直也は一人オロオロした様子で、二人の組み合う姿を見守るしかない。
「何してんの二人とも!」
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