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『じゃあせめてアイスが食べたい食べたい!』
「食えねーっつってんだろ!」
しばらくそのやりとりが続いたあと、貴絋が折れた。うるさくて敵わなかったのだ。
貴絋が意識を取り戻した後、彼の部屋のテーブルに置き手紙があった。ララの字で、その他彼女が食べたいものが書き連ねてあったのだ。
「ワガママな女なんかやめとけ。金がかかるばっかりだぜ……」
貴絋は、悟った感を匂わせながら真顔で光一を制する。
貴絋以外の三人は、彼と自分達の圧倒的な経験値の差を読み取った。しばらく沈黙が続く。
「すみません……話戻るんだけど、先輩の好きなタイプは芸能人でいうと誰ですか……?」
それでも光一は一矢報いようと食い下がる。
「俺芸能人よく知らないから……」
貴絋は、つまらなそうに答えた。もういいだろ? と口からでかかったが、それを遮るように光一が次の質問を投げ掛けた。
「ではプリキュアで言うと?!」
「芸能人わかんねーって言ってんじゃん!」
「ぶっちゃけありえない! それならイタコで言うと誰!?」
「お前の母さんしか知らねーよ」
「熟女か……望みなし、と」
ノートに律儀にメモを取っている光一は、顔を上げると生き生きとした顔で貴絋の瞳を見つめながら力強く言った。
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