食パン

1/9
前へ
/389ページ
次へ

食パン

「何!? 」  そこにいる全員が自分の目を疑った。ダイアナはゴール前まで凄まじい勢いで駆け抜けると、その場でボールを上空に蹴りあげ、自分も高く飛び上がった。 「シャイニング・エターナルラブシュートッ!!」  彼女は空中で半回転すると、頭を下にした状態でそのボールを思い切り蹴った。 「オーバーヘッドだと!?」  明吉は度肝を抜かれた。サッカー歴4年の自分でさえまだ成功したことがないのに。  さてボールは勢いを無くすどころか、ダイアナの恐るべきキック力により時空を歪ませるほどのパワーを得た。あまりの衝撃にボールの両脇にはハリケーンが生まれる。向かって右がジェニファーで左がスーザンである。  目も満足に開けられぬほどの風圧の中、貴絋の野生の勘が告げる。これヤバイやつだと。  しかし、これから逃げるという選択肢はなかった。女のシュートを止められないとなれば男の沽券に関わる。  俺はどうなってもいい、だから必ずこのボールを止める。もし止められなければ、そのときは俺の社会的な死だ。     
/389ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加