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――俺は何故こんなことを……。
どうして自分がダイアナをも連れ出したのか、よくわからなかったのだ。
いまだ泣き止まぬダイアナを横目に、悪くもないのに罪悪感のようなものが込み上げてくる。俺が泣かせた? いやいや心当たりねーぞ。
右隣には、自分がパスをしたせいで鼻血を垂れ流す結果になってしまった少年。こちらは泣いてはいないものの、何も語らず気まずいこと受け合い。
何この状況。やっとの思いで保健室のドアを開けた貴絋は、即座に直也を丸いイスへ座らせた。
「先生、こいつ鼻血出た。診てやって」
保健師の先生が優しい手つきで手当てをしてくれる。貴絋は思い出した。思いっきり前のめりに倒れたのだから、他にも怪我しているところがあるかもしれない。その時初めて気が付く、直也はジーンズを履いていたというのに、めちゃくちゃ長いハイソックスを履いているという事実。食パン柄のTシャツといい、独特なファッションセンスを持っている。
「ソックス脱げよ、足もケガしてんだろ」
その言葉を聞いた途端、直也の顔色が変わった。
「してない! 大丈夫。おれもう行くよ。辻くん、ありがとう」
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