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貴紘は機嫌悪そうにダイアナを睨み付けた。笑うなら笑え。からかうならからかえ。
「なんてこった。ごめんなさい……。母上だったなんて……あまりにもお若くお綺麗でしたから。ご挨拶もせず私ったら……でもよかった、これで安心してあなたにアタックできる。タカヒロ、あなたの初婚をリザーブするわ!」
ダイアナはその綺麗な指を、貴紘の鼻先につきつけた。貴紘は思わず一歩、後ずさる。
「……何言ってんのお前!」
「年齢による魅力なんてものは軽く凌駕してみせるわ。私は欧米の血を受け継いでいますもの。純粋なアジア人よりは成長が早いのよ! そうそれはハーフの特性であり宿命」
……の割にはチビなんだよな。との言葉は飲み込んでおこう。それにしても一人でよく喋る奴だな。貴絋は感心した。
「……じゃあそう言うことで。俺戻るからお前先生が帰ってくるまで留守番してろよ」
「OK!Google」
こうして二人はあっさりと破局の道を歩んだのであった。しかし、ダイアナに言わせるとこれは前向きな別れだ。彼女は当然諦めてはいなかった。
□
「えーっ!! 央子ちゃん辻くんと別れちゃったの!?」
まだ一ヶ月も経ってないよと驚きを隠せないチカに、神森ダイアナ央子は思いの丈を打ち明けた。
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