19人が本棚に入れています
本棚に追加
「タカヒロ、一緒に帰りましょう! 一人で帰るのはキケンよ。大丈夫! ええ大丈夫よきっと大丈夫! 心配しないで、私足手まといにはならないつもりよ」
訂正する。狙われるのはダイアナ以外の女。
「お前みたいな歩く拡声器を狙うやつはいねーよ」
校門を出たところですぐに数名の輩に囲まれた。その目は完全にダイアナを標的にしている。貴絋は思わず一歩前に出ると右手で無意識に彼女をかばった。
「何だよお前ら」
輩が差し出す腕を見て貴絋に緊張が走る。敵は三人。全員メガネで何らかのハゲ、たぶん勝てる。最悪この距離なら学校に逃げることも可能だ。
その時、野郎共の一人が想像よりもずっと甲高い声で叫んだ。
「サ、サインくださいッ!」
「……は?」
ダイアナは貴絋の前に歩み出ると笑顔でそれに答える。
「OKOK.ならんでちょうだい。でもアポなしは困るのよ、今度はちゃんとイベントのときにしてちょうだいね」
説明しなくてはならない! ダイアナの存在は一部の界隈において特別な知名度を有しているのだ。主に大きなお友達から絶大な支持を受けている。
「マギラワシーことすんなよな……」
貴絋は呆れ、足早にそこを去った。
「タカヒロごめんねッ!! でも私のファンはみんな礼儀正しいから心配しないで」
最初のコメントを投稿しよう!