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「母さんには……まあ、言えねーかも」
そう言って苦笑いした貴紘の横顔を見つめながら、直也は、とんでもないことを聞いてしまったと手に汗をかいた。
再婚? それじゃ、あのお母さんとは血の繋がりがないということ?
直也の頭で昨日のお婆さんの言葉と貴紘の説明が組み上がり、思わず本音が漏れてしまう。
「重い……」
「その台詞そのまま返すわ」
「あっ……ご、ごめん」
「いちいち謝んな」
直也の謝罪の言葉を聞くたびに、貴紘は胸が締め付けられる思いがする。きっとこの言葉を一番聞いているのは彼の母親なのだろうと。それも、たぶん直也は悪くないのに。
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