カレー

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 すぐに起こそうと、貴絋の顔を見て驚く。普段の目付きの悪い不機嫌そうな顔ではない、気の抜けた年相応の無垢な寝顔だった。その顔を見た途端、自分のふがいなさを思い知った。 「過度なストレス、原因にはそういうものもあげられます。できれば夜はお母さんも家に居てあげた方がいいかもしれません」  真織はつい先程まで、食器やガラスを割ったのは貴絋の意思だと思っていた。自分へのあてつけなのだと。それで少しでも貴絋の気が晴れるのなら好きにさせてやろうと。そう思ったから何も聞かなかった。  だがそうではなかった。もっと早くに気がついてやれば、こんなケガをさせずに済んだかもしれなかったのだ。  真織はもう随分、貴紘と本音で向き合っていないことを思い出した。
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