オムライス(焦)

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 勘違い決めつけも甚だしい。冷静に考えてみれば、いかに自分が子供じみた恥ずかしい暴言を吐いたのかがよく分かる。誰しも何かを抱えて生きているのだ。それを見せていないだけだ。そんなことに気付くことすら出来ず感情に任せて見当外れな事を言った自分を愚かだと思った。 「……ごめん」 「なんで謝るの? 嫌だよ僕そーいう哀れまれ系は」 「じゃなくて、俺昨日無神経なこと言ったから」  光一はよくわかってない、腑に落ちないような表情を見せた。 「俺んちも母親しかいない、去年から」 「そっか。でも母子家庭だと家事スキル上がらない? 僕最近ドリア作れるようになった」 「……マジ? シェフかよお前。俺、料理しない。洗濯はするけど……」 「洗濯僕も好きだよ、奥が深いよね」  なぜそんなに楽しそうに語れるのか不思議だった。貴絋は家事を楽しいと考えた事はない。ましてや好きだなどとは到底思えなかった。 「あのさ、お前のお母さんって……どんなとき怒る?」 「あんまり怒られないな、僕基本いい子だし」 「自分で言うな」  光一は自分で言ったことに笑いをこらえきれず貴絋のツッコミを待つ前からすでに吹き出している。 「でも最近怒られたのは……変な通販勝手にした時だったかな、ファラオのミイラ買ったとき」  それは誰でも怒るだろうと思う反面、もし自分が同じことをしたら真織は怒るだろうかと考えてしまう。     
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