ラムネ

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ラムネ

「貴くん、そろそろ学校へ行かなきゃ遅刻しちゃうわよ……?」  ドアを控えめにノックする音と共に真織の声が聞こえた。貴絋はすぐさま起き上がって時計を見る。もう一息で8時になるところだ。思わず「え?」と驚きの声を上げてしまう。何よりおかしいのは、アラームが切られていること。  自分でアラームを切るとどんなに眠くても記憶に残っている。例えば切ったあと二度寝したとしても、絶対に覚えていた。だが今日は今真織に起こされるまで、目覚めた記憶もアラームを止めた覚えもなかった。  変だな、と思いながらも着替えようとしたが、パジャマのパンツに手をかけようとしてぎょっとする。何故かすでに着替えを終えていた。  また寝ぼけたんだろうか?  不思議に思いながらも、ランドセルを背負った。 「いってきます」  小さく呟きながら、真織の様子を盗み見る。おかしな所は見当たらないが、普段なら朝食を食べる余裕がある時間に起こしてくれるくらいの気遣いを見せるはずだった。 「気を付けてね」  パンツスーツ姿の真織はそう言っただけ。  走って学校に向かう途中、胃に充足感があることに気が付く。  ――もしかして俺、朝たべてる?     
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