第1章 再会

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あの日の再会は5年振りだった。 あの日差しが強い日に真也の携帯に千紗から突然連絡が来た。 『久しぶり。ちょっとお願いがあるの』 その言葉の裏に何を考えているのか想像がつかなかった。 待ち合わせ場所に自宅から近いファミレスを選んだ。 5年振りの再会に最初は動揺していたが、目を合わせた瞬間に動揺は消えていた。 席に座り、第一声を真也は発した。 『お願いって何?』 千紗は数秒考え込んで、真也に言葉を返した。 『結婚指輪を返して欲しいんだけど』 『返すって、俺が渡そうと思ってたのに』 5年前を振り返ると真也は千紗にプロポーズをして断られた。ショックしかなかった。 真也の胸中を察しない、千紗に恨みたくなった。 『とりあえず、返して』 千紗の脳裏はどうなっているのか、理解ができなかった。 『なんで、千紗に返さないといけないんだよ』 真也は思わず反撃の返しをしてしまった。
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