君の笑顔を見たくなくて、そっぽを向くことしかできなかった。

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わたしには、素敵な恋人がいる。 サッカーが上手くて、みんなの人気者で、お喋りしてても楽しい気分になれる。 だから、その人がわたしに告白してくれた時は、驚きと、戸惑いと。 そして、心の奥底では優越感を感じていた。 女子の大半は、彼と付き合いたいと言っているのを聞いたことがあった。 だからわたしは返事を「喜んで」と返した。 人気者の彼と付き合える、選ばれた女の子なのだから。 それから、毎日が楽しかった。 友達に照れくさそうな顔でわたしを彼女だと紹介してくれる彼。それを囃し立てながらも受け入れてくれる男の子たち。悔しそうにしながらも、それを黙っているしかない女の子たち。 わたしはそれを清純そうな笑みで微笑みながら心の中では高笑いが抑えきれていなかった。 ほら、わたしってすごいでしょ? 人気者の子にすら告白されるぐらい価値が高いのよ? そう思いながら、教室の隅の方をちらりと見やった。
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