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そこには、幼稚園の頃から知っている幼馴染の姿があった。
アイツはネクラで、本ばかり読んでいて、友達がいなくて。顔はそれなりに整っているのに、その顔を隠すような分厚いレンズをした眼鏡をかけている。
わたしがいることなんて分かっているはずなのに、目も合わそうとしない。肘をついて窓の方に顔を向けて、ちっともこちらを見てくれなかった。
(…何よ。可愛い幼馴染が別の子とお付き合い始めたって言うのに)
アイツはいつもそう。
いつも1人なアイツが可哀想で声をかけてやってるのに、いつも不機嫌そうな顔をして、すぐにそっぽを向いてしまう。
私がお喋りしても相槌1つ打たないで、黙ったままでいる。
何で、こっちを見てくれないんだろう。
私が可愛くないから?魅力がないから?
そのことが悔しくて、私は頑張って自分磨きをした。
お化粧して、思わずこっちを見てくれるほど可愛くなる研究をした。
友達とのお喋りとか、たまに起こる面白いことを少し誇張して話して、気を引かせようと頑張った。
それでも、アイツはこっちを見ようとしなかった。ずっと窓の外を見つめ続けたまま、イヤホンまでつけて。
(…バカ。アイツ、ホントにバカ)
悔しくて、悔しくて。
それでも、私は笑ってみせた。
だって私のそばには、みんなが羨む人気者な彼氏がそばにいる。
そして、私たちの関係を祝福してくれるみんながいる。
これ以上幸せなことなんて、滅多にないわ。
そう言い聞かせて、私は目を細めて笑う。
ーーキリキリと痛む胸の叫びに、気づかないふりをして。
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