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『またね! また明日!!』
『うん!』
あぁ、またか……。
『なんで、なんでなの!一緒に居てくれるって約束したのに……』
『ごめん……』
『嘘つきなんて、大っ嫌い!!』
『ごめん……。本当にごめん……』
また、このシーンか……。
『絶対に戻ってくるから!そしたらまたあの場所で一緒に遊ぼうね!』
『うん……。ぜったい、だよ。約束だからね。忘れちゃ、ダメだからね。』
また、この夢か。
もう、忘れたいのに。でも……忘れちゃ、いけないんだ。次、会えたらあの時みたいに……。
あの子を、1人にしないために。僕は約束を守らなきゃいけないんだ。
[ピピピッ!ピピピッ!ピピッ]
[バン!!]
はぁ、はぁ、はぁ……。
またあの夢だ。もうずっと前のことなのに。
昔の僕はもう……いないんだ。
あの子と会えたとしてもきっと、今の僕では約束なんて、守れない。
あの子はきっと、取り繕っただけの僕なんて嫌いだろうから。だって、嘘つきが嫌いだったから。
僕の名前は赤瀬 潤
高校1年生で桜ヶ咲高校に通っている。部活は入ってない。客観的に自分のことをいうとしたら明るくて、誰からも好かれる。とかフレンドリー、とかだと思う。……そう見られるように、僕がしたから。
本当の僕は感情がなくて、誰にも愛されてなんかいない。明るくもなければ好かれるなんてもってのかほかだろう。
でも、そんな僕を知ってるのは……1人だけ。子供の頃、離ればなれになった青山茜という女の子だけだ。
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