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『もう嫌だよ……。私をひとりにしないで……』
『ごめん……。僕はお母さんに引き取られることになったんだ……』
分かってる。しょうがなかったってことは。
『潤が悪いんだ! 潤が……もっとみんなから好かれる性格だったら……! 潤の親も離婚しなかったんだよ!!』
『……! ごめん……。そう、だね。僕がそういう性格だったら……茜とも……』
なんで、あんなことを言ってしまったんだろう。潤が優しいことは知っていたのに。潤が……悪くないことも、分かっていたのに。
『絶対に戻ってくるから! そしたらまたあの場所で一緒に遊ぼうね!』
無理やり作ったような笑顔で、言わせることも無かったのに。
潤だって辛かったはずなのに、もっと追い詰めてしまったんだ……。
あの頃の私はいつもひとりだった。公園に行っても誰とも遊ぼうとせずひとりだった。周りの子みたいに声をかけて、友達になって、一緒に遊んで……ということができなかった。
でもある日突然男の子に声をかけられたんだ。
『君もみんなと一緒に遊ぼう?』って。でも私はその時「嫌だ。みんなと一緒になんて、遊ばない」
こういって拒絶してた。
なぜなら私は知っていたから。一緒に遊んでいた子達がいなくなった後、必ずいなくなった子の悪口を言うことを。だからそんな中には入りたくなかった。でもその男の子は
『みんなと遊ぶのが嫌なら2人で遊ぼうよ!』とか
『遊ぶのが嫌なら一緒にはなそ!』とか
毎日、私を見かけるとこういって声をかけてきた。
……それでも私は拒絶していたけれど。だって結局この子も裏で悪口を言ってるんじゃないかって思ってたから。
だけど……声をかけられるうちにその子少し気になって、気づいた。
その男の子は、いつも絶対悪口を言わなかった。それどころか、自分のことを悪く言われても笑顔でいた。
だから次に声をかけられた時に一緒に話してしまっていた。
『なんだか野良猫みたいだよね!』
『は?なんのこと?』
『え?あかねだよ。あかねって最初僕のこと避けてたじゃん。なんか警戒心が強い野良猫みたいだなって』
名前を名乗ってすぐにこう言われた。たしかにいつも無愛想だとか、言われてるけど。
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