本編

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「あ、あのっ!!…好きです。」 親友が顔を真っ赤にし、自分の恋人にチョコレートを渡しながら告白する姿を目撃して、一番最初に湧き上がってきたのは『ああ、またか』だった。 いや、またというのには語弊ががあるかもしれない。 今までは俺の恋人が心移りして、俺の親友に告白していたんだ、今回は逆か。 でも、結果が変わらないのなら結局は同じ事だろう。 俺、葉山 光は明るいとよく言われる所謂ムードメイカー的立場になる事が多い感じの人間で、対して親友である篠原 夕月は物静かで、どちらかというと聞き役に徹している事が多い。 大体の場合、俺が仲良くなって付き合い始めた後、夕月に紹介するといつの間にか皆夕月の方が良くなっている。 夕月の控えめなところが癒されるし、守ってやりたくなるらしい。 『お前は友達もたくさんいるし大丈夫だろ?でも夕月は違うんだ。』そう言われた事も一度や二度ではない。 夕月と二人で別れ話をしに来られた事が無いだけマシなんだろうか。 夕月は正に名前の通り月のような存在らしい。 そう言って、俺の元を去って行った男達を思い出ししてしまい慌てて首を振って思考を中断した。     
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