山南陽愛先生の朝

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 山南先生はどちらかというと小柄なタイプで、よく美術室の椅子でうたた寝をしている姿は少し茶色っぽいストレートな髪が陽の光を浴びて輝き、まるでその空間だけが一つの絵画のようで、可愛らしい山南先生の寝顔を見ようと人だかりが出来ることもある。  だが、そんな癒し効果抜群の山南先生の趣味は意外にもアクティブなものもあり、休みがあるたびに登山や釣りなどのアウトドアへと出かけているのだ。 (天候によっては今夜から出てもいいし、明日の朝早くから出て泊りの登山でもいいなぁ)  そう考えを巡らせて、山南先生は熱心にスマホで山の天気情報を集めているのだった。 「あ……メール?」      山南先生が真剣に画面を見ていると、ちょうどメールを受信したことを知らせる画面が映る。  とりあえず山南先生が届いたばかりのメールを開いてみると、そこには短い一文が送られていた。 『会議室に集合せよ!』 「近藤先生……さすがだなぁ」      その一文を見て山南先生は驚くわけでもなく、感心したように呟いた。  普段の山南先生ならこの時間は「居眠り」という名の船をこいでいるので、メールが届いたとしても気づくわけがない。  今日は週末だから、山南先生が天候情報を携帯で見ていると読んだうえで近藤先生はメールを送ってきたのだろう。 「でも、今日って金曜だしなぁ……メールしよっと」  そう呟いてスマホを弄った山南先生は誰かにメールを送る準備をし出した。     
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