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斎藤涼介先生の朝
それと同じ頃、藤堂先生と同期の誠陵學校の家庭科担当の斎藤涼介先生・二十五歳は、自宅のベッドの中にいた。
朝にめっぽう弱い彼は、一応目を覚ましてはみたものの身体を起こすまでにはいかずベッドの中でダラダラとしていた。
もっとも、家庭科の教師なだけありすでに朝食の下準備は昨夜のうちに終えている。
そんな家庭的な一面を持っている斎藤先生だが、こちらも藤堂先生と同じくなかなかのイケメンで、まだ夏の暑さを多少残すからかパジャマ代わりのタンクトップから覗く身体はとても家庭科の教師とは思えないくらいに立派に鍛えられている。
どこか色気すら感じさせる気怠げな動きで斎藤先生は前髪をかき上げると、枕元へと置いてある時計へと視線を移す。
どうせ、もうすぐ自分でセットしておいた最終的なタイムリミットのアラームがなるはずだ。
そう考えて、残り僅かの睡眠をとろうと斎藤先生が完全に寝の体勢に入ろうとすると、それを邪魔するかのように自宅の電話が鳴る。
(こんな時間に誰だよ……。まあ、留守電に切り替わるからいいか)
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