斎藤涼介先生の朝

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 そこには左右に写真が入っていて、まだ小学生くらいの幼い少年二人が笑顔で仲良くくっついている物と、今よりも僅かに若い斎藤先生がスーツ姿の男性に肩を組まれて、少し恥ずかしそうにしている物がそれぞれ収められていた。  どちらもよく見ると、それぞれの面影が残っているので左右の写真は同一人物達なのだろう。 「おはよう……雪ちゃん」      斎藤先生は青年の方の写真へとそう呟くと、そっとそこへと唇をあてる。  そして、タオルを手にシャワールームへと消えて行ったが、その表情はさっきまでの色気が嘘かのように優しく、とても幼いものだった。  
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