藤堂春樹先生の朝

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藤堂春樹先生の朝

「はーい、朝練はここまで!」      緑のジャージを着た青年がそう言って首に下げているホイッスルを鳴らすと、その場のみんなの動きが止まり、ボールの音も静かになる。  この青年は私立誠陵(セイリョウ)學校の保健体育担当・藤堂春樹(トウドウハルキ)先生、二十五歳。  藤堂先生は体育教師といっても、体格のいいタイプではなく、むしろ細身で長身のモデル体型で、今もジャージ姿だというのにそのスタイルの良さがはっきりとわかる。  さらには元々の校則が厳しくないためか割と教師も自由で、明るい茶色のメッシュが入った髪をヘアワックスで整えている藤堂先生は、こうしてジャージ姿でいても彼の職業が体育教師であると当てられる者はいないだろう。  そんな彼は今、自らが顧問を勤めるバスケ部の朝練中だったのだ。  それぞれがボールを手にして自分の元へと集まったのを確認してから、藤堂先生は生徒に向かって言う。 「各自、ボールを片付けて、シャワーと着替えを終えたら朝のホームルームの準備!」 「はい、お疲れ様でした!」         
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