神様

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ある日、俺はいつものように集まってくる情報を整理していた。 情報は、付き合いのある情報屋たちから毎日流れてくる。 俺の付き合っている情報屋たちは凄腕揃いで、特級の情報が毎日のように届く。 俺はそれを捌き、別のヤツが掴んだ情報で欲しそうなものをそれぞれに流してやる。 もちろん別に情報料も支払うが、あいつらは金よりもそうした情報の方に価値を感じている。情報というものの価値を知っている奴らだからだ。 そうして俺は、そのすべての情報を得る。 奴らからすれば、俺はライバルではない。 対価を支払えば、金や情報を得られる魔法の泉といったところだ。 だからこそ、こうして毎日せっせととびきりの情報を送ってくるのだ。 そんな中に、時たま妙な情報が送られて来ることがある。 眉唾な「奇跡」に関するものだ。 俺は電子メールに添付された写真を眺めて首を傾げた。 報告の題名は「神に会った男」。 写真は、その男の胸に刻まれた聖跡と呼ばれる幾何学的な記号のような傷。 神が、夢でないことを示すために男の体に刻みつけたものだと言う。 取るに足りないペテン。狂人の戯言。そう言って片付けてしまっても良いが、俺にはそうすることができなかった。 なぜなら、その胸の傷は俺の胸にも刻まれていたからだ。それも、最近の話ではない。施設に預けられる前、まだ記憶もない赤ん坊の頃からあった傷跡だった。 それとまったく同じ傷跡。それを刻みつけたのは神だという。 俺は、その情報を送ってきた情報屋にコンタクトを取り、その男と面会することにした。
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