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「さあ、お前の人生は今日を持って終了する」
突如僕に告げられたのはその一言だけ。
目の前には神様を名乗る、黒髪の青年。
彼がこの言葉を口にしたことで……僕の幸せな日々は消えてしまった。
そう、僕は……死んでしまったのだ。
この神様によって、人生の終わりを決められた。
時は過ぎ。あの日、僕が死んでから3年が経つ。
何も言えずに僕は死んでしまった。僕を大事に育ててくれていた両親、たった1人しか居なかった僕の大事な人にも。
……それなのに。
僕には何も出来ないのに。何も伝えられないのに。話す事も触ることも出来ないのに。
見ることや聞くことだけは出来る。
それも決まって夕暮れ時だけ。いわゆる僕は幽霊という存在になってしまった。
ああ、神様はなんて残酷なんだ。
神様の身勝手で僕はこの世で生きることになって。そしてまた神様の身勝手でこの世を去ることになる。
終わりも、始まりも選ぶことが出来ない。
いや、終わったはずなのに終われない。
いっそ、夕暮れを壊してくれれば僕はこんな辛い思いをしなくて済むのに。
殺すぐらいなら見せなくていいのに。
しかもその例の神様は時折僕の様子を見に来てはニタニタと笑い去っていく。
「僕は、神様なんて大嫌いだ」
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