第一章:寄生体“A”の噂

3/3
前へ
/22ページ
次へ
「だいたい、同じ国民のはずなのに待遇に差があり過ぎない? 知ってる? 中枢で働いてる奴らなんて、頑丈なシェルターの中で生活できるわ、食糧は多めに回してもらえるわで、国自体が滅びるまで生き延びられるんだってさ。国自体が滅びるまでって! いったい私らの何倍の寿命なんだか。それどころか、いざこの国がヤバくなったら、中枢の奴らだけでよそへ移る計画も立ててるとか……」 「芹!」  杞紗はついに声を荒げた。その声で我に返り、自分がまずいことを言い過ぎたのに気がついたのだろう、芹はうって変わっておどおどとした様子であたりを見回した。 「憲兵とか、いないよね……?」
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加